20191117日(日)

ジョーティシャ インド占星術講座抜粋

 

 

今回、令和の時代が始まりましたので便乗して令和をテーマに講座を行おうという話になりました。そこで当初は51日の図から始めようという話だったのですが、今回は1022日の正殿の儀が記憶に新しいのでこれをテーマに行おうと思っています。

 

黒板を見てみますと、二つの図が目の前にある。

私の以前のクラスを受講されている方は左側のお弁当箱のような四角のマスが並んだ図しか見たことがないよ、という方がいらっしゃる可能性が高いです。

これは何かというと左側が「南インド式クンダリー」と呼ばれるものです。

クンダリーとは何かというとその出来事なり人なりが誕生、もしくは発生したときの星の配置を記している図のことです。ですので、天皇陛下が正殿の儀を行いますよと言ってあべさんが「ばんざーい」みたいな、そんな瞬間‥いやごめんなさい間違った、この儀式が開始された瞬間の(読み上げた瞬間だったのでは)上空の星の配置をここで記しているのです。

南インド式も北インド式も全然違って見えるけれども表現していつ星の配置は全く同じものです。記述方式が違うだけです。左側に書かれた南インド式クンダリーの特徴は星座の位置を固定していることです。

 

と、いうことは12星座と呼ばれる・・よくある占いの本とか新聞、雑誌、インターネットなど最近はどこでも出ていますよね、牡羊座とかおうし座とか言う名前はご存知かと思うのですけれど、その12星座を固定した配置になっています。例えば一番左端の角にあるマスから2番目のマスは牡羊座になります。誰の出生図であっても、それが天皇陛下であれ、あべさんであれ、このマスは牡羊座になります。するとこの方式は星座の位置が固定されているというシステムですから、牡羊座の次は必ずおうし座になります。つまり太陽の通り道である黄道の12星座の順番通りに記述されるのです。

時計回りにお羊の次がおうし座、おうし座の次がふたご座、ふたご座の次はかに座、しし座、おとめ座、今回のクンダリーで三つの星が入っているのはてんびん座、次はさそり座、いて座、山羊座、みずがめ座、うお座となります。星座の順番を覚えたほうが良いです。しかし慣れるまではこのマスの中に星座名を記入して行っても良いでしょう。

さそり座といて座のあいだが銀河の中心になります。ブラックホールがあったりする白鳥座が見られるあのあたりです。ちなみに山羊座などはサンスクリットではマカラという名で、山羊ではないのですが今回は日本語で行います。また次回にでもご紹介いたします。このような感じで、左下のマスは自動的にいて座、右下のマスは自動的におとめ座というかたちで、星座の位置が固定されているシステムが南インド式クンダリーと呼ばれるものです。

 

 

その中で山羊座を示すマスに二本線が引かれています。

この二本線はクンダリーを記述するうえでとても重要な基点になります。ある出来事が発生したとき、もしくはある人物が誕生したときに、まさに東の地平線上に上昇してきた星座のポイントを指しているのです。

何を見るにしても、この東の地平線上に上昇してきた星座を重要視します。それが国のクンダリーであろうが、人のクンダリーであろうが同じことです。

ですからこの二本線を見つけたら「あ、東の地平線上に上昇しつつあった星座の位置を示しているんだ」という風に解釈していただけると良いのです。

では天皇陛下の正殿の儀が開始されたときに、「さて、東の地平線上を見てみよう」という風な感じで東の方向を見てみますと、山羊座という名前の星座が上昇していた、ということになります。

こちらが東ということは反対のマスは西ということになります。すなわち西の地平線上にはかに座がありました。そしてそのかに座のなかに月が記されています。ですからこの時点で西の方を見てみると月がその方角にあったということになります。

そして時間は1317分でした。昼間でした。昼間ということは頭の上に太陽があるわけです。すると太陽が天頂にあったということになります。

1022日においては太陽はてんびん座に在住しているため、南インド式クンダリーでは天頂が下側のマスに示されることになります。

このようなことがあるため北インド式クンダリーになれている人は南になじめないと思われることがあるようです。つまり基点となる東の位置が移動していくにつれて、天頂や天低、西も移動してゆきますから頭を使って考えていくことになります。

 

とにかくこの時点では真昼間ですから天頂に太陽があり、その近くに金星や水星がありました。太陽系と言えば、常に太陽のすぐそばには水星や金星が回っています。ということは、どのような出来事であっても、それが起きた地点から見た星の配置を記述しているわけですから、金星や水星は太陽のそばからあまり離れることはないのだとということを頭に入れておくと良いです。

ある人の誕生時間や、出来事が発生したときの時間が詳しくわからなかった時でも太陽の付近には絶対に水星や金星があるので、クンダリー全体の比重を考えたときに、これは確率的な話になるのですが、太陽の位置さえ分かればその周辺に金星や水星があるのでクンダリーのなかで太陽を中心にしてある程度の重みが現れてきます。カルマ的には現象化しやすい部分なども表わされてきます。今回の場合は分かりやすいのですが、太陽と同じ天秤座に金星と水星も在住していたということになります。

 

 

その三つの星がある隣に太陽系の大臣である木星があります。木星があるからこそ太陽系は太陽系でいられると。木星はとても大きな惑星で多くの隕石を吸収してくれています。もし木星がなければ地球は隕石にぼこぼこにされて、生き物などとても生存することのできない環境となり、場合によっては木っ端みじんになっていたのかもしれません。しかしこの木星のおかげで私たちは保護されています。

それゆえ太陽系の仲間のなかではこの木星は保護とか寛容とか、大臣であるので先生のような導き手の役割も担います。そこから智慧、知識も表します。私たちを守ってくれる存在ということです。

 

その隣のマスに土星とケートゥが在住しています。土星は太陽系のなかで肉眼で見える惑星のなかでも最遠の惑星であるため、ジョーティシャのなかではこの土星までを太陽系の惑星たちという風に定義しています。

西洋占星術では天王星や海王星、冥王星もよく見ます。しかしジョーティシャではこのクンダリーの外側の枠というのは土星の軌道を象徴しているという風に捉えます。

そして土星と同じ星座にあるのがケートゥという名の星になるのですがケートゥの話をする前にその対向に位置するラーフについてご紹介することになります。

このラーフとケートゥについて簡単にご説明しますと、これらは太陽の軌道と月の軌道の交点を表す架空のポイントです。ですのでラーフという名の星があったり、ケートゥという名の彗星があるという話ではなく、太陽の軌道と月の軌道の交点、すなわち日食と月食を引き起こすポイントを示しています。

架空の点というくらいですから人を惑わせるもの、幻想に近いものをラーフとケートゥは表します。

 

あとで解釈を述べる際に出てきますが、サイバーテロであるとか、実態の知れないもの、ウイルスの問題、また食品における添加物であるとか、現代の医療機器に引っかからないような物質、そういったものをケートゥが表します。

それではラーフとケートゥはどう違うのでしょうか。

ケートゥは内在化して見えないようなものを表します。内部に入り込んでいるスパイのような動きをします。これが国であればスパイであるとか、日本にすでに住んでいる外国の方たちとか、そのような暗示になるのですが、個人に表れた場合にはアレルギーなど、現代においては悩まれている方も多い問題に該当します。

 

 

 医療占星術を学ばれている方もケートゥには非常に注意を払うことになるでしょう。薬の副作用なども表します。自分ではよいものだと思いこんで飲んでしまうのです。良いと思って食するのになぜか最近調子が悪いんだよね、いやこれは雑誌に良いものだと書いてあったから良いものであるはず・・・そう思い込んでいるものが実は全然本人の体質には合わない。このようにケートゥは自分ではなかなか自覚できない問題を表すため対処が難しい星だったりします。もちろん悪い意味だけではなく、とても深遠な意味では人間の精神性、悟り、気づき、解脱、真の自己に対する目覚めなどもケートゥは表します。ですのでケートゥの表示に対して怖れを感じても、精神的に有益な側面にもフォーカスを当てて欲しいと思います。

 

逆にラーフの方が精神的な側面においても危ない要素があります。

ラーフは外部に向ける攻撃性を表すので内在化しているケートゥとは違って、はっきりと軍隊の先頭にいるような存在です。

このクンダリーでは防衛をあらわす6室目にラーフが在住していて、その対向にケートゥと土星が共にあるという状態であったときには、サイバーテロのような問題は考えられます。

防衛、軍事の側面ではサイバー攻撃に対してかなり力を入れて行かなければならない時代に入って来るとは思われます。

 

7番目の質であるかに座には月が在住しています。

地球から見れば月は太陽と同じくらいの大きさに見えるのですが、月はカルマの倉庫と言われます。

この地球において個々の魂を何回も輪廻転生の輪に投げ込んでぐるぐるとまわしている張本人、立役者が月で、「何回も生まれて楽しみたいから良いのです」という人には月は吉星なのですが、少し気を付けなければなりません。吉凶がかなり変化する星になります。

うつろいやすいという意味がありますので、人間のなかでは「感情」を示すと言えば一番わかりやすいのですが、むしろ「印象」に近い役割を担っています。

月の作用を考えたときに夢のことを思い出せば最も近い現れ方をしています。

 

【続く】