【ジョーティシャにおける12のラーシ(星座)】

 

日本において占星学と言えば、まずは12の星座を思い浮かべる事でしょう。牡羊座から始まり魚座で終わる12星座は、テレビや雑誌の占いコーナーでもおなじみです。 

12星座とは、地球を取り巻く360度の宇宙を、恒星が形作るグループに従って、ちょうど30度ずつ、12分割したものです。これら星座たちは、動き回る惑星(グラハ)がどこの位置にいるのかを示すために、ランドマークのような役割を担っています。

 つまり星座とは本来、宇宙の一定の方向の、ある範囲を指し示すために存在しているのです。

しかし、一般に紹介されている12星座は、西洋占星術のシステムに基づいており、春分の日を牡羊座の0度とする「トロピカル星座帯(サンスクリット名:サヤナ)」という方式を使用しています。

 これに対してジョーティシャ(インド占星学)では、実際の恒星からなる星座に対応している「サイデリアル星座帯(サンスクリット名:ニラヤナ)」という方式を使用しています。

これら方式の違いにより、互いの示す星座は、現在では約24度もずれている事になり、例えばある人の出生時の太陽が、西洋占星術では牡羊座であるのに、ジョーティシャでは魚座である、といったずれが頻繁に見られる状態になっています。

1星座は30度の幅ですから、約24度もずれているという事は、半分以上の人が1星座分のずれを持ってしまうという事になるのです。

 

なぜ、このようなずれが生じるのでしょうか。

それは、歳差運動と呼ばれる地球のある運動を、ジョーティシャの場合は考慮し、西洋占星術の場合は考慮していない、ということが原因になっています。

歳差運動とは、地球の自転軸が、ちょうど倒れ掛かったコマが円をえがくように首振り運動をする、その動きの事を指します。

地球は自分で回る自転と、太陽の周りを回っている公転という2つの動きをしていることはご存知の通りですが、さらにもう一つ「歳差運動」という回転軸の揺らいだ運動をしています。

こうした長期にわたる周期運動も、精密に検討し計算した上で、星の配置を分析するところがジョーティシャの優れた特質といえましょう。

 

さて、ここでジョーティシャにおいての星座を検討する際に重要なポイントとなる「ラグナ」についてご紹介しましょう。

人や物事が誕生したその瞬間、まさに東の地平線の延長線上に上昇していた星座のポイントのことを、特別にラグナと呼びます。

東は太陽が昇る方向であり、哲学的にはモークシャ(解放、悟り)をも象徴します。

そのためジョーティシャでは、東の地平線上に上昇していた星座であるラグナを、とても大切に扱うのです。

このラグナとなる星座を基点に、クンダリー(出生時の星の配置)は分析され、それによって、未来に何が起こるのかを予測することになります。